三木東マンスリー −敗訴者負担編−


現在の訴訟の制度では、弁護士や司法書士に支払う報酬は、勝訴、敗訴にかかわらず原則として、各自負担です。
この制度を変えて、原則、敗訴者負担にしようとする案が浮上しつつあります。
勝訴者が支払うべき弁護士や司法書士の経費も敗訴者が支払うことにするという制度です。
国民みんなが社会的経済的に平等であるならばそういう考え方も、ありかもしれません。
しかし、残念ながら今の日本の社会は、建前はどうであれ、そうとは言いがたい面があることは否めません。大きな会社や行政は、明らかに個人より強大ですし、個人間や会社間においても格差は歴然とあります。
こんな状態のまま、なんの個人の裁判支援に関する強力な措置をこうずることなく、敗訴者負担の制度を原則導入したら、国民の、憲法で保証された最後の権利擁護の砦である裁判を受ける権利が危うくなるのではないでしょうか。

( 司法書士 中嶋康雄 )




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